部落解放・人権政策確立要求京都市実行委員会第32回大会

 

70年前 世界人権宣言が採択された翌日に開催 

 

 

 

  1211日、京都府部落解放センターにて部落解放・人権政策確立要求京都市実行委員会第32回大会が開催されました。解放共闘事務局長谷口富士夫さんの司会により開会のあいさつがなされ、議長団に京都市小学校同和教育研究会の井川勝さん、京都市中学校教育研究会人権教育部会の澤田清人さんが選出されました。

 はじめに、市実行委員会より加藤章善会長があいさつし、「今年は世界人権宣から70周年ということだが、私はその年に生まれて現在70歳。被差別地域にある寺で生まれ、地域も貧しく寺も貧しいがゆえに、13歳でゴルフ場でキャディーのアルバイトをした。その時にゴルフをする金持ちの大人が高圧的な態度だったことが悔しく、その経験が反面教師として人を敬える人間になりたいとの信念を持つこととなった。また、現在国は働き方改革と言うが、働かされ改革だ。雇用状況も厳しく、私たちは様々な事柄に真剣に取り組まなければならない時代だ」と述べました。

 来賓あいさつにうつり、京都府実行委員会を代表して平井斉己事務局長が「差別禁止法が日本にないということが国連ジュネーブでも問題になっている。世界の人権状況をとらえつつ、地域に根差した活動をしっかり進めていく中で一緒に活動していただきたい」と述べました。次に京都市より吉田良比呂文化市民局長が「昨日、世界人権宣言70年記念日にあわせ、ロームシアター京都敷地内の『全国水平社創立の地』記念碑に説明板を設置しその精神を市民にアピールすることとした」と述べ、市長からのメッセージを代読しました。

 政党からのあいさつとしては、国民・みらい市会議員団より鈴木マサホ市会議員、立憲・市民クラブ京都市会議員団より安井勉市会議員、公明党京都府本部代表幹事山口勝府会議員よりいただき、他に公明党より青野仁市会議員、社会民主党より佐藤大さんが参加され、紹介されました。

 祝電披露を部落解放同盟京都市協議会副議長川瀬武さんがおこない、来賓の方々が退席され、議事の進行に移りました。

村上光幸市協副議長が第31期の活動報告を行い、京都商工会議所の荻野達也さんが会計報告、京都人企連より野上隆文さんが会計監査報告を行い、参加者の拍手で確認されました。続いて、基調提案、また第32期予算案が承認され、役員人事の選出を、古谷宏市協事務局次長が提案。会長に、浄土真京都教区人権同和推進委員長の加藤章善さんが再任されました。

最後に、大会決議案が、同和問題に取り組む京都府宗教者連絡会議の松本正英議長から読み上げられ、全員の拍手で確認されました。

全ての議事が終了し、議長降壇の後、閉会挨拶を、実行委員会副会長である村井一成解放共闘議長が行い、第32回大会を終了しました。

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  引き続き京都市実行委員会の独自事業「考えてみませんか あなたの人権わたしの人権」が開催され、今年は「多様性がもたらす世界の平和〜世界人権宣言70年に思うこと〜」と題し、羽衣国際大学現代社会学部教授であり、テレビ、ラジオ、執筆などでも活躍中の、にしゃんたさんに講演をいただきました。

はじめに、「うなずく」というさりげない動作の違いから、日本とスリランカの文化の違いが紹介され、国だけでなはなく、地域、性差など、冷静に考えれば我々には『違い』しかない。それは前提であるはずなのに、敬遠する生き方はよくないと述べました。以下に講演内容を要約すると「違いしかない、変化に満ちている世の中においていかに生きるべきかというと、変化や違いを自分の中に、あるいは組織の中に取り入れ、そのつど新しい自分たちを創っていくことが大事。しかし、変化を受け入れることに不寛容であれば、極端には排斥、あるいは同化、そうでなくても住み分けという形態に陥る。「共笑」(ともえ)ということを提唱したい。ただ共に生きる「共生」ではなく、共に笑うこと、あるいは共に学ぶ「共学」、共に楽しむ「共楽」。世界人権宣言70年であるが、人権に対してはどこか少数者のためという意識になりがちだ。しかし、人権は他者のためではなく、自分が持ち合わせていない違いを、自分が取り入れることによって、自分自身が強く優しくしなやかに、美しく豊かになること。自分が人間として成長する権利としてとらえると、また世の中の景色が変わるだろう」ということで、まさに、人権をわが身にひきつけてとらえるヒントが与えられた講演でした。